++日本タバコフリー学会++ 活動報告

日本マクドナルドの全店舗屋内完全禁煙に続け


日本マクドナルドの全店舗屋内完全禁煙に続け



 8月15日、日本マクドナルドは、8月1日より全国に展開する3135全店舗を屋内完全禁煙にしたと発表しました。先進国のマクドナルドで、全店舗禁煙でなかったのは日本のみだったので、今回の英断を大歓迎したいと思います。

同社は「よりきれいな空気と健康に配慮した環境の中で、食事を楽しんでほしい。従業員の労働環境の向上にもつながる。」とコメントしています。

 従来、「お客様は神様です」との方針のもとで、ともすれば「従業員を受動喫煙被害から守る」姿勢が欠落していた飲食店業界ですが、同社のコメントは大いに評価できます。 世界保健機関(WHO)は、タバコは毎年世界で600万人の命を奪い、そのうち1割の60万人は、受動喫煙によると警告しています。日本のタバコ犠牲者は毎年20万人にも達すると推計され、その1割の2万人が受動喫煙死と思われます。厚生労働省研究班による心筋梗塞と肺がんに限った受動喫煙被害調査でも、毎年6800人が死亡と推計されています。

 2003年に施行された健康増進法の第25条には、「受動喫煙の防止」が定められていますが、罰則がない努力目標に留まっています。また、分煙では受動喫煙被害を防止できないことは、WHOや米国公衆衛生局長官も明言しています。

 2005年に健康に関する初めての国際条約として発効し、日本を含む170か国以上が批准している「WHOのタバコ規制枠組み条約(FCTC)」の第8条も、「他人のタバコの煙に曝されることからの保護」を規定しています。 受動喫煙には、PM2.5による被害も検証されています。日本の環境基準は、35μg/m3以下ですが、屋内喫煙ではPM2.5が数百μg/m3にも達します。

 日本の飲食店従業員の多くは、勤務時間中にこのように恐ろしい受動喫煙被害の忍従を未だに強いられています。きれいな空気のもとで働くことは、労働者の基本的人権ですので、完全禁煙でない飲食店は従業員や客への人権侵害であり、「ブラック企業」と言われても過言ではありません。 今回の日本マクドナルドの英断を受け、飲食店業界には、どの飲食店に入っても受動喫煙被害の心配がない完全禁煙の環境整備を進めていただきたい。  政府には、2020年の東京オリンピックで、日本が世界の笑いものにならないためにも、「分煙なし、例外なし、罰則あり」の喫煙規制を強く求めます。

2014年08月17日(日) No.30 (動向)

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