++日本タバコフリー学会++ 活動報告

「兵庫県内8税務署職員向け喫煙室撤去に関する要望書」への回答


2014年6月9日付の活動「兵庫県内8税務署職員向け喫煙室撤去に関する要望書」に対して、回答をいただきましたので、お知らせします。


    

大阪国税局の回答はこちらです。回答に対する当会の意見も盛り込んでおります。



大阪国税局の回答(平成26年6月30日)

大阪国税局総務部厚生課の喫煙対策係の高橋茂政様からの電話回答をいただきました。

「文書回答をいただきたいので、電話では困る、回答をHPに載せるので、正確にレポートするためにも、文書で答えをください。」とお願いしましたが、「文書やメールでの回答というのはしておりません」とのお返事でした。

仕方ないので、メモを取りながら電話に応じました。以下は、その概要です。

(1)本会「税務署の新たに作った喫煙室が、県の条例に抵触しているので撤去を要望したい」

国税局「兵庫県の条例では庁舎の建物内は禁煙となったので、以前の庁舎内喫煙室が条例に抵触することになったため、県に問い合わせたところ、敷地内の屋外に喫煙室を設置は条例に抵触しないという返事だったので、設置した」

(2)本会「勤務時間内の喫煙が公務員の職務専念義務違反にあたるのではないか」

国税局「今のところ禁止することは考えていない。時代の流れに即して、今後、勤務時間内禁煙になってゆくのかもしれないが、現状はその段階ではないと認識している。喫煙対策は人事院の職場における喫煙対策に準じて行っている。健康診断で喫煙者に禁煙指導を行い、禁煙外来も行っている。職員に世界禁煙デーの周知を行うなどして、意識付けを行っていて、健康被害についての啓発も行っている。諸般の事情に照らして、社会通念上認められる範囲で、勤務時間内の喫煙は仕事に支障がないくらいなら、問題ないと考えている」

本会「健康増進施策としての「喫煙対策」について、「禁煙対策」という言葉を使われたので、「禁煙対策」はタバコ会社が禁煙運動を問題視して、禁煙運動を封じ込めるための策として使う用語なので、「喫煙対策」とするのが正しいと指摘させていただきます。また、喫煙室の中は、PM2.5も北京並みになり、毒性が強く、喫煙者自身の健康被害も重大であること、サードハンドスモークと言って、吸った後の吐く息や体についたタバコの煙も有害で、喫煙室を作って分煙する方法では、受動喫煙の被害が防げません」

本会「今年のWHOの世界禁煙デーのスローガンをご存知ですか?」

国税局「安藤美姫さんのポスターですよね。それは、啓発に使っています」

本会「そのポスターにWHOの世界禁煙デーのスローガンが記載されていないのはご存知でしょうか。今までも、WHPのスローガンは、かなり歪めて和訳されていましたが、昨年は、和訳をせず、小さくポスターに英語を入れるのみだったし、今年はさらにひどくて、英語の原文すら、紹介していません」

国税局「すみません。存じ上げません。(ネットで調べられたよう)あっRaise Taxes on Tobaccoですか」

本会「そうです。タバコ税を上げようというスローガンなのに、税を扱う国税局の方がご存知ないのは、残念ですね。もっとも、もともと国が、国民にWHOのスローガンを知らせようとしていないのですから無理もないかと思いますが。税金を上げるのが一番有効なタバコ対策なのですが、日本は、タバコ規制枠組み条約と矛盾するたばこ事業法があるので、有効なタバコ対策はできないのです。このたばこ事業法を撤廃し、タバコ規制法を作り、タバコを非合法にしないと解決しません。」

本会「世界保健機関(WHO)タバコ規制枠組み条約(FCTC)」をご存知ですか?日本も2004年6月8日に批准しているのですが。」

国税局「存じ上げません。」

本会「国税局の方がご存知ないのは驚きましたが、世界では、タバコが健康、経済及び環境に全世界にわたり破壊的結果を及ぼすと考えて、需要を減らすことにより、タバコをなくしてゆくことを考えて発効した国際法です。タバコ税の増税をたいへん有効な策として上げています。国税局の方には是非知っていただきたい国際法です。時代の流れがそこまで行っていないとおっしゃいましたが、この国際法の締約国会議で、2010年の2月までに屋内は「分煙なし、例外なし、罰則ありの全面禁煙を国内法で決めて、取り組むことが義務つけられています。ところが日本はそれを、まだ実現させてないばかりか、国民に知らせようとさえしていません。たばこ事業法という悪法は、本来タバコ規制枠組み条約と矛盾するので、撤廃すべきです。このような世界の動きがあるのに、それでもまだ、勤務時間内禁煙を定める流れが出来ていないと判断されるのは、おかしいのではないでしょうか」喫煙のために失われた勤務時間について、考えたことがありますか。一人の喫煙者が、勤務時間内に喫煙のために無駄にしている時間は、だいたいどれくらいですか?」

国税局「一概にはいえないと思います。」

本会「勤務時間内に喫煙者は、何本くらいタバコを吸いますか?」

国税局「それは人によって、いろいろだと思います。一人の喫煙者がどのくらいの時間を喫煙に割いているのか、一概には言えないと思います」

本会「喫煙者により、いろいろなのはわかりますが、平均的に1日1箱吸うとすれば、何本になりますか」

国税局「1時間に1本として、およそ、8本だと思います」

本会「1本あたり5分ですので、それだけで、40分です。ソフトクリームをなめるために、職員が1日40分、休憩室にこもって仕事をしないとすれば、それは許されることでしょうか?一概には言えないと言葉を濁しても、決して、許されることはないと思います。

年収700万円の人が、勤務時間内に6本吸うとしても、1日30分が無駄になります。

それに余分に支払われる労働賃金は、年間50万円に登るという試算(アイ電気)があります。これが、全部税金から無駄に使われるのです。これほどのムダが、社会通念上認められますか?そのような計算をした上で、勤務時間内の喫煙が許容範囲と認められたのでしょうか?

一概には言えないと平均的なところを試算したのがこの数字ですから、1日2〜3箱吸う人がいるとすれば、その損害は、どうなりますか?たとえ、1日6〜8本でも1年にすればどれだけ大きな数字になるのか、お分かりいただけたと思います」

国税局「この件につきましては、また、伝えておきます」

本会「試算データを加えた形で、また要望を出したいと思います。とりあえずはお答えいただいた内容を今まとめた形でホームページにアップさせていただきますが、よろしいですか?」

国税局「了解しました。それでよろしいです。」

たいへん感じのよい、正直な方でしたが、国税庁の認識のずれを痛感しました。

まとめてみると、

1.国税庁の方は、FCTCをご存知ありませんでした。

2.国税庁の方は、WHOの禁煙デーのスローガンが「タバコ税を上げよう」であることをご存知ありませんでした。

3.国税庁の方は、職務時間内の喫煙は社会通念上問題ないと言いながら、どれぐらいの時間が喫煙で無駄になっているか、ご存知ありませんでした。

4.そのような試算をした上で許容範囲と考えているのではなく、漠然と、まずは「喫煙ありき」「喫煙は既得権」になっているのは、タバコ対策が遅れている日本の他の一般の事業所と同じ印象でした。

さて、このことは、国民として、納得できることでしょうか?

「職員数1万人の自治体で勤務時間内禁煙にした場合、差し引き回復コストが9億4305万円になる」という以前の試算データも口頭でお示ししました(表1)。



表1.勤務時間内喫煙禁止によ回復コスト


このデータをつけて、次回は、勤務時間内喫煙禁止にすべきであり、そのために、喫煙室は撤去すべきだと再度要望したいと思っています。

文責:事務局長 薗はじめ




兵庫県受動喫煙対策室長の回答はこちらです。









兵庫県受動喫煙対策室長の回答に対する当会の意見はこちらです。




兵庫県受動喫煙対策室からの回答について(平成26年6月30日)

兵庫県受動喫煙対策室の四方弘道室長から回答がありました。

兵庫県受動喫煙対策室は、条例について問い合わせを受けた際、「庁舎外に建てられた喫煙室は、建物内禁煙を定めた条例に抵触しない」と指導しておられたようです。「受動喫煙を防ぐ対策を指導している」というより、「喫煙公務員の喫煙場所を確保するために、条例をどう解釈すれば、喫煙場所を確保できるかを指導している」のが実態のようです。

「条例施行の5年後に見直し」とのことですが、神奈川でも、前進しなかったことを考えると、スペインモデル同様、「分煙を掲げたために遅延策になった」という過去の悪い事例の通りになっていることがわかります。

日本は、タバコ規制枠組み条約第2回締約国会議で定められた内容、つまり、2010年2月までに屋内を「分煙なし、例外なし、罰則付き」の完全禁煙にすべき受動喫煙防止法制定を、完全に無視しています。JTは、各地の労働衛生講習会で、分煙オンパレードの受動喫煙対策の講演を請け負っています。神奈川県の受動喫煙防止条例が分煙を許容したことの弊害が、あちこちで出ていることがわかります。完全禁煙化へのステップどころか、遅延策であり後退だと思います。兵庫県でも、一部禁煙になったところもありますが、「喫煙出来ます」や「分煙」を掲げた飲食店が目につくようになりました。

スモークフリーを「分煙」と誤訳し、分煙条例を成立させることに当会が同意できない理由は、この事実からも、わかっていただけることと思います。




産経新聞でも取材をした結果記事にまとめて下さっています。

以下のHPをご参照下さい。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140705/wlf14070512000010-n1.htm

2014年07月07日(月) No.27 (動向)

No. PASS