◎ English(by Dr. Jun Sono) ◎/ ◎ English(by Dr. Jeffrey Wigand) ◎ | ||
設 立 趣 旨 書 | ||
特定非営利活動法人日本タバコフリー学会 設立代表者 薗 潤 | ||
1 趣旨 世界保健機関(WHO)は、「タバコは、毎年世界で600万人の早世(早死)をもたらす原因であり、現状を放置すれば、今世紀中に10億人の人々がタバコで殺される」と強く警告している。我が国についての諸報告では毎年13〜20万人が能動喫煙で、6800人〜数万人が受動喫煙で死亡していると推計されている。 タバコは現在、世界で最も多くの人々を殺す「合法的」凶器であり、喫煙者本人のみならず、受動喫煙で周囲の人々にも重大な健康被害を及ぼし、環境に対する破壊や汚染も深刻である。また、タバコは殆ど全ての疾病・早世・暴力・虐待・貧困・不幸と深く関わっている。このように深刻な状況を直視すれば、その根本的な解決策としては、タバコを根絶し、タバコのない(タバコフリー)社会の実現以外に考えられない。 ※タイの写真警告付きタバコパッケージ(JTのタバコも海外では、写真警告付き) | ||
2005年に、WHOのタバコ規制枠組み条約(FCTC)が発効し、現在、我が国を含む170か国以上が批准し、グローバル戦略を展開する多国籍タバコ産業と戦うための有力な国際的協力の手段と枠組みができた。しかし締結国の義務として2010年までに包括的な「タバコ規制法」を制定し、FCTCを誠実に実行していくことが強く求められていたにもかかわらず、我が国では現在に至るまで「タバコ規制法」は作られず、地方自治体レベルの不完全な条例が散見されるに留まっている。これらの「分煙」を認める不完全な条例の出現で、却って、WHOが推奨するグローバルスタンダードの「罰則規定付きの例外なき屋内完全禁煙化」の実現が、我が国では更に遅れるという事態が憂慮される。 喫煙習慣は、麻薬や覚醒剤常習と同様、薬物依存症という疾患であり、タバコ使用を皆無にするためには、医学的なアプローチも必要である。タバコに含まれるニコチンは、薬事法では毒薬指定、毒物及び劇物取締法では毒物と指定されている。また、タールの構成成分であるベンゾピレン・ニトロソアミン等は発がん性が確実視されている物質であり、食品衛生法では、いずれも毒物、有害物として排除されている。それにもかかわらず、タバコが合法商品として販売されているのは、「たばこ事業法」で手厚く保護されているからであり、同法は国民の健康や命を犠牲にして、タバコ産業の発展と税収の確保を優先した悪法である。当面の目標として、一日も早く財務省管轄の「たばこ事業法」を廃止し、厚生労働省管轄の「タバコ規制法」を制定して、国民の命と健康を優先して守るべきである。そのためには、タバコ農家の転作や、タバコ販売業の転業を奨励する国の包括的な施策と財政的な措置が必要であり、その最も効果的な方法として、タバコ価格の継続的値上げにより、必要な財源を確保することが求められる。 最終的に、人類は今世紀中に「人々の依存症・疾病・早世・暴力・虐待・貧困・不幸の最も大きな原因であるタバコのない(タバコフリー)社会」の実現に向かうべきである。我が国では、タバコを麻薬と同様に禁じる「タバコ禁止法」を制定し、日本全国を完全に禁煙にするべきである。「タバコ禁止法」実施に伴って懸念される密造・密売・密輸等の問題は、FCTC締結国とも協力し、タバコフリーの世界を実現すべきである。 我が国でも、既に禁煙推進を掲げる団体は幾つかあるが、その目的はタバコ規制(タバココントロール)に留まっており、完全にタバコのない(タバコフリー)社会の実現を掲げる団体は、我々の知る限り、未だ存在しない。 以上を踏まえ、今般、特定非営利活動法人日本タバコフリー学会(Tobacco-Free Advocacy Japan)を立ち上げることを決意した。 禁煙推進を隠れ蓑に禁煙治療を利権と捉え営利を目的としたり、自己の権力的野望実現の手段として禁煙団体を私物化することは、あってはならないと考える。 従って、我々の活動の原資は会員の会費と寄付及び事業収入とし、タバコ産業のみならずギャンブルなどの射幸団体等からのCSR(企業の社会的責任)活動としての資金援助は、断固拒否する。 今後は国内外の同志や禁煙推進団体とも連携・協力し、各分野の英知を結集して、対策の有効性を検証しながら、今世紀最大の課題ともいえる「タバコフリー」の活動を開始し、目的達成に向けて邁進する。そして、この目的達成のためには、会員が医療職のみでは全く不十分で、各界に広く人材を求める必要がある。より多くの方に賛同して頂くため、活動基盤の強化と透明性の担保・組織の明確化をはかりながら、特定非営利活動法人として真摯に活動していきたいと考えている。 ここに、高い志を持つ同志のご参加と積極的なご協力を、切にお願いする。 | ||
2 申請に至るまでの経過 | ||
平成23年3月〜9月 | 特定非営利活動法人設立準備委員会立ち上げ検討を重ねる。 | |
平成23年9月 | 特定非営利活動法人設立準備委員会にて設立申請することを決定する。 | |
平成23年11月27日 | 特定非営利活動法人設立総会開催(東京) | |
特定非営利活動法人日本タバコフリー学会 設立代表者 薗 潤 |